代表的なファブレス企業一覧を紹介【全15社】ファブレス経営とは?
世界で急成長した企業のビジネスモデルとして、「ファブレス経営」という言葉を聞いた事があるビジネスパーソンも多いのではないでしょうか?
この記事ではファブレス経営についてのメリット、デメリットなどの理解や代表的な企業について紹介します。またよく間違って覚えてしまうファウンドリとの違いについて解説します。
ファブレス経営とは?
ファブレス経営とは製造を行う工場を自社で持たないビジネススタイルの事をいいます。企画や開発は自社でおこない、製造は委託(アウトソーシング)するイメージです。
工場「fabrication facility」がない(Less)という意味になります。
ファブレス経営の歴史は古く、1980年代にアメリカのシリコンバレーで半導体に特化した企業が日本企業に製造を委託した事が起源とされています。
1983年に創業したアルテラ「Altera」(現在はインテルに買収)が初めて設立したファブレス企業として有名です。
昔から変化している部分もありますが、まずはメリット・デメリットについて紹介します。
ファブレス経営のメリット
・初期投資が少ない
・市場の変化に対応しやすい
ファブレス経営のデメリット
・外注コスト(ランニングコスト)
・品質の管理
・機密情報の漏洩
上記はいずれも交渉や設計などを慎重に取り扱えば問題ない内容にはなっています。
ファブレス経営は現代における成功する製造業の在り方の一つといえます。
有名なファブレス企業一覧
ここでは馴染みのある有名な企業を15社紹介します。
- Apple(デジタル・ソフトウェア製品)
- キーエンス(センサー・測定機器)
- 無印良品(家具、衣料品、雑貨、食品)
- 任天堂(ゲーム)
- Red Bull(エナジードリンク)
- ナイキ(スポーツ関連商品)
- 伊藤園(清涼飲料)
- ダイドードリンコ(栄養ドリンク剤・清涼飲料)
- ユニクロ(アパレル)
- H&M(アパレル)
- IKEA(家具・インテリア)
- バルミューダ(家電)
- サンゲツ(インテリア)
- クアルコム(通信技術・半導体)
- エレコム(パソコン、デジタル周辺機器)
一部自社工場もありますが基本的にはファブレス経営の企業になります。
ファブレス経営企業の紹介
ファブレス経営について代表的な会社を5つ紹介します。
①Apple(アップル)
アメリカのアップルはファブレス経営の中でも特に有名な企業です。
それはゲームや音楽などのソフトを充実させて説明書がなくても感覚的に操作できる付加価値を提供しました。
アップルは自社で製造工程をコントロールしながら部分的に韓国や台湾のEMS企業に委託しています。
そのためデザインや商品の企画や設計に特化することができ、付加価値の高い分野に経営資源を集中させています。
また、生産に必要な機器についてはアップルが持ち主となることで、デザインの流出などを防いでいるのです。
②キーエンス
ファブレス経営で大きな成功をおさめた日本企業がキーエンスになります。
一貫生産ではなく製造は国内外の協力会社にアウトソーシングしたことで最適な技術や生産ラインを持つ工場を柔軟に選択できました。
キーエンスは工場を持たない選択で最先端を走り続けています。
③無印良品
無印良品もファブレスを取り入れています。店舗が多くあるので身近にあるファブレスメーカーといえるでしょう。
「ムジラー」という言葉が流行るほどに熱狂的なファンもいます。
「無印良品」の企画開発から、商品調達、流通・販売までを行う良品計画社は「ブランドではないブランド」というコンセプトで無印良品を立ち上げました。
・工場直発注で生産調達
・デザインされたものも固定
・デザインされたものは他ブランドで販売しない(OEMをしない)
無印良品はブランド力を武器に独自性を保つことで他の企業にはない立ち位置を確立しました。
④任天堂
次々に新しい発想のゲームを次々と発表する任天堂もファブレスメーカーです。
生産委託先の協力企業で生産しており現在は中国での生産が中心のようです。
ゲームなどのデジタル機器は製品サイクルが短いですしゲーム機やソフト(製品)をずっと作り続けるのなら本来は、自社工場を構えたほうがメリットは大きいでしょう。
⑤レッドブル
レッドブルも特徴的なファブレス経営をしています。
イベントやスポーツではよく見かけるRed Bull(レッドブル)のステッカーやカーラッピングは印象的だと思います。
世界166カ国以上のマーケットで、シェア率は70%と言われています。
1年の販売数は75億缶でエナジードリンクの中では最も高いです。
日本には2005年頃に進出し現在ではコンビニや自動販売機でも販売されるなど、認知度も高い商品です。
アジア圏では栄養ドリンクというカテゴリーはありましたが、エナジードリンクというカテゴリーを作ったことでも有名です。
急成長の秘密
Red Bull(レッドブル)は年間の売上額の3分の1を広告やリサーチというマーケティング(販売促進)に予算を充てるというルールがあります。
コカ・コーラで広告やリサーチというマーケティング(販売促進)に9%の費用を使われています。
マーケティング費用の比率を考えると圧倒的なパーセンテージ(金額)をマーケティング費用に充てていることがわかります。
マーケティング費用に大きな金額をかけていることで、1本275円(250ml)という飲料水とは違った価格設定をしている理由の一つになります。
レッドブルの代名詞といえば F1
広告でメジャーなものと言えば、F1やmotoGPなどのモータースポーツにスポンサーとして参加しています。
Red Bullが中心となってゲーム、DJ、飛行機レースなど。『マイナースポーツ』と呼ばれるものを発掘しイベントや大会を開催しながらそのカルチャーを育てています。
一見エナジードリンクとは関係なさそうにも見えますが
・選手→パフォーマンスを高めたい→Red Bull! 飲もう!
・観客→エキサイトしたい→Red Bull!飲もう!
このようなイメージを植え付ける事こそがRed Bull(レッドブル)の絶妙なマーケティング戦略です。
Red Bullはドリンクの製造はしていない
扱う商品も数種類しか無いため自社で行うのはマーケティング(リサーチ・広告・ターゲティング・ ブランディング・売れる仕組み化)が中心です。。
どうやったらRed Bullを世界中の人に飲んでもらえるかを常に研究しつづける事こそがRed Bullの仕事なのです。
ファウンドリとは?
ファブレスと似た用語としてファウンドリというビジネスモデルも台頭してきました。
製品設計を行わず受託製造のみを行うビジネスモデルです。
ファブレスとは逆に生産機能に特化した仕組みの事を指します。
『ファブレスメーカー』と『ファウンドリメーカー』は共存関係にあります。
パートナーとして互いに分業しながら発展していく形をとっています。
ファブレスメーカーが初期投資を必要としない一方ファウンドリメーカーは製造ラインが必要になります。
そこでファウンドリメーカー(受託製造メーカー)は初期の開発段階からファブレスメーカー(工場無しメーカー)と連携してシナジー効果を生み出すビジネスモデルに発展しました。
ファブレスとファウンドリの関係性
ファブレス(工場無しメーカー)とファウンドリ(受託製造メーカー)は共存関係のため共同開発などを行うこともあります。
①工場への投資をせずに済む
②コストや時間を開発設計に集中できる
そのためファブレスメーカーはベンチャー企業が多い アメリカで発展しました。
一方でファウンドリメーカーはファブレスメーカーと共同開発を行うことでノウハウや技術が供与されるのです。
ファウンドリメーカーは生産コストを抑えられる海外の台湾やベトナムなどアジアを中心に発展を続けています。
まとめ
いかがでしたか?
ファブレス経営の魅了とマーケティングに力を入れることが重要であることが理解できたかと思います。
いくらいいものでも作ったとしても知られていないと意味がないですよね。
ファブレス経営を学んで、アウトソーシングする考え方が重要かもしれません。