ファブレス経営とは?ファウンドリとの違い【代表的な企業一覧を紹介】

世界には急成長した企業があるのはご存知ですか?
共通のキーワードがファブレス経営です。
この記事ではファブレス経営についての理解とよく間違って覚えてしまうファウンドリとの違いについて解説します。
ファブレス経営とは?

ファブレス経営とは工場を持たないビジネススタイルの事をいいます。企画や開発をおこない製造は外注するイメージです。
工場(Fab)「fabrication facility」がない(Less)という意味です。
ファブレス経営の歴史は古く1980年代にアメリカのシリコンバレーが始まりで、諸説ありますが、1983年に創業したアルテラ「Altera」(現在はインテルに買収)が初めて設立したファブレス企業として有名です。
歴史は古く色々と中身が変わっていますが、メリット・デメリットがあります。
ファブレス経営のメリット
・初期投資が少ない
・市場の変化に対応しやすい
ファブレス経営のデメリット
・外注コスト(ランニングコスト)
・品質の管理
・機密情報の漏洩
ファブレス企業は工場がない点以外では、製造業としての性質をもっています。
それは独自性のある商品やサービスを生む・作るという機能を持つからです。
ファブレス経営は現代における成功する製造業の在り方の一つといえます。
有名なファブレス企業一覧
ここでは馴染みのある有名な企業を紹介します。
- Apple(デジタル・ソフトウェア製品)
- 任天堂(ゲーム)
- 無印良品(家具、衣料品、雑貨、食品)
- ナイキ(スポーツ関連商品)
- Red Bull(エナジードリンク)
- 伊藤園(清涼飲料)
- ダイドードリンコ(栄養ドリンク剤・清涼飲料)
- ユニクロ(アパレル)
- H&M(アパレル)
- IKEA(家具・インテリア)
- ニトリ(家具・インテリア)
- サンゲツ(インテリア)
- クアルコム(通信技術・半導体)
- キーエンス(センサー・測定機器)
- エレコム(パソコン、デジタル周辺機器)
一部自社工場もありますが基本的にはファブレス経営の企業になります。
ファブレス経営企業
ファブレス経営について代表的な会社を5つ紹介します。
①Apple(アップル)

アメリカのアップルは『ファブレスメーカー』の中でも特に有名な企業です。
スティーブ・ジョブズは自社製品『iPhone』を革新的製品と表現しました。
製品そのものというよりも『iPhone』がもたらす【付加価値】を言っています。
iPhoneのデザインや操作性といったハード面だけでなく
・ゲームや音楽などのソフトを充実させて
・説明書がなくても感覚的に操作でき
・お客様にとって【価値】を創造しました。
iPodで電話もゲームもできたらいいよねーというスタッフの他愛のない意見から産まれました。
アップルは基本
①自社で製造工程をコントロールしながら
②部分的に韓国や台湾のEMS企業に【委託】しています。
『ファブレス化』で品質維持とコストダウンを成功させました。
②キーエンス
ファブレス経営で大きな成功をおさめた日本企業が『キーエンス』
一貫生産ではなく製造は国内外の協力会社にアウトソースしたことで最適な技術や生産ラインを持つ工場を柔軟に選択できました。
新製品を開発するたびに最適な生産ラインや工場をつくるとコストがかかります。
(人材を配置しなければならないでしょう。)
キーエンスは工場を持たない選択で最先端を走り続けています。
③無印良品

『無印良品』もファブレスを取り入れています。
身近にあるファブレスメーカーといえば『無印良品』でしょう。
「ムジラー」という言葉が流行るほどに熱狂的なファンもいます。
【良品計画】社は「ブランドではないブランド」というコンセプトで無印良品を立ち上げました。
『無印良品』の製品は一貫したブランドコンセプトのもと製造や流通・販売がコントロールされています。
・無印良品は工場直発注で生産調達し
・無印良品のためにデザインされたもの以外は扱わず
・無印良品でデザインされたものは他ブランドで販売することはない(OEMをしない)
無印良品はブランド力を武器に独自性を保つことで他の企業にはない立ち位置を確立しました。
④任天堂

次々に新しい発想のゲームを発表する『任天堂』もファブレスメーカーです。
生産委託先の協力企業で生産しており現在は中国での生産が中心のようです。
ゲームなどのデジタル機器は製品サイクルが短いですしゲーム機やソフト(製品)をずっと作り続けるのなら本来は、自社工場を構えたほうがメリットは大きいでしょう。
しかし『ファブレス化』することで製品が失敗(売れなかった)としても 最小限のコストで撤退が可能です。
⑤レッドブル

レッドブルも特徴的なファブレス経営をしています。
イベントやスポーツではよく見かけるRed Bull(レッドブル)のステッカーやカーラッピングは印象的だと思います。
世界166カ国以上のマーケットで、シェア率は70%と言われています。
1年の販売数は75億缶でエナジードリンクの中では最も高いです。
日本には2005年頃に進出し現在ではコンビニや自動販売機でも販売されるなど、認知度も高い商品です。
アジア圏では栄養ドリンクというカテゴリーはありましたが、エナジードリンクというカテゴリーを作ったことでも有名です。
急成長の秘密
Red Bull(レッドブル)は年間の売上額の3分の1を広告やリサーチというマーケティング(販売促進)に予算を充てるというルールがあります。
コカ・コーラで広告やリサーチというマーケティング(販売促進)に9%の費用を使われています。
マーケティング費用の比率を考えると圧倒的なパーセンテージ(金額)をマーケティング費用に充てていることがわかります。
マーケティング費用に大きな金額をかけていることで、1本275円(250ml)という飲料水とは違った価格設定をしている理由の一つになります。
レッドブルの代名詞といえば F1
広告でメジャーなものと言えば、F1やmotoGPなどのモータースポーツにスポンサーとして参加しています。
Red Bullが中心となってゲーム、DJ、飛行機レースなど。『マイナースポーツ』と呼ばれるものを発掘しイベントや大会を開催しながらそのカルチャーを育てています。
一見エナジードリンクとは関係なさそうにも見えますが
・選手→パフォーマンスを高めたい→Red Bull! 飲もう!
・観客→エキサイトしたい→Red Bull!飲もう!
このようなイメージを植え付ける事こそがRed Bull(レッドブル)の絶妙なマーケティング戦略です。
Red Bullはドリンクの製造はしていない
扱う商品も数種類しか無いため自社で行うのはマーケティング(リサーチ・広告・ターゲティング・ ブランディング・売れる仕組み化)が中心です。。
どうやったらRed Bullを世界中の人に飲んでもらえるかを常に研究しつづける事こそが『Red Bullの仕事』なのです。
ファウンドリとは?
ファブレスと似た用語としてファウンドリというビジネスモデルも台頭してきました。
製品設計を行わず受託製造のみを行うビジネスモデルです。
ファブレスとは逆に生産機能に特化した仕組みの事を指します。
『ファブレスメーカー』と『ファウンドリメーカー』は共存関係にあります。
パートナーとして互いに分業しながら発展していく形をとっています。
ファブレスメーカーが初期投資を必要としない一方ファウンドリメーカーは製造ラインが必要になります。
そこでファウンドリメーカー(受託製造メーカー)は初期の開発段階からファブレスメーカー(工場無しメーカー)と連携してシナジー効果を生み出すビジネスモデルに発展しました。
ファブレス(工場無しメーカー)×ファウンドリ(受託製造メーカー)
『ファブレスメーカー』と『ファウンドリメーカー』は共存関係のため共同開発などを行うこともあります。
ファブレスメーカーはファウンドリメーカーと仕事することで
①工場への投資をせずに済み
②コストや時間を開発設計に集中できます。
そのためファブレスメーカーはベンチャー企業が多い アメリカで発展しました。
一方でファウンドリメーカーはファブレスメーカーと共同開発を行うことでノウハウや技術が供与されるのです。
ファウンドリメーカーは生産コストを抑えられる海外の台湾などのアジアを中心に発展を続けています。
まとめ
いかがでしたか?
ファブレス経営の魅了とマーケティングに力を入れることが重要であることが理解できたかと思います。
いくらいいものでも作ったとしても知られていないと意味がないですよね。
ファブレス経営を学んで、アウトソーシングする考え方が重要です。